あなたは「昨日まであんなに仲が良かったのに、なぜ?」と思ったことはありませんか?
ある日、突然「特定の誰か」に対して猛烈な拒絶反応が出てしまう。昨日まで笑顔で話せていたはずなのに、今日になったら相手からのLINE通知を見るだけで動悸がし、声を聞くのも生理的に受け付けなくなる。そして、そのまま衝動的に連絡を絶ち、関係をリセットしてしまう……。
人間関係は大切なことだと理解しているのに、理由も分からず人を拒絶してしまうことは、とても辛かったことでしょう。
HSP(Highly Sensitive Person)の気質を持つ人の中には、この「人間関係の強制終了(ドアスラム)」と呼ばれる現象に悩み、密かに自分を責め続けている人が少なくありません。これは相手を拒絶したいという「攻撃的な意思」ではなく、むしろ自己のホメオスタシス(恒常性)を維持するための「緊急回避措置」なのです。
HSP気質の人は高感度なセンサーを持つため、他者との境界線が曖昧になると脳がオーバーヒートを起こしがちで、その際に繊細な心を保護するために「心理的な棘」を立て、全方位との接触を断つことを選びやすいのです。これは性格の欠陥ではなく、生物学的に極めて正常な「生存戦略(緊急シャットダウン)」であり、本人にとっても制御不能な「生理現象」なのです。
「私はなんて薄情なんだろう」
「飽きっぽい性格だから、人付き合いを続けられないんだ」
「きっと私の性格が破綻しているからだ」
もし、あなたがそうやって自分を裁いているのなら、どうかその法廷を今すぐ閉廷してください。なぜなら、その「突然の拒絶」はあなたの性格が冷たいから起きるわけではなく、あなたが「優しすぎて、限界まで我慢し続けてしまった結果」に起きる心の緊急シャットダウンに過ぎないからです。
今回の投稿は、あなたの心の中で起きている悲しいメカニズムを解明し、あなたが自分を許すための話をしましょう。
この投稿は朗読(ポッドキャスト)でもお楽しみいただけます。眠れない夜のお供にどうぞ。
突然、人を嫌いになってしまうあなたへ|感受性が高い人の「優しさの破綻」を防ぐ選択肢
Contents
相手の「1」を「10」受け取る心のレシーバー
まず、あなたの心がどれほど高性能で、それ故にどれほど負担がかかっているかを知ってください。
多くの人は、相手との会話において「言葉そのもの」を受け取ります。相手が「元気?」と聞けば、「元気だよ」と返す。情報量は「1対1」です。
しかし、HSPの気質を持つあなたは違います。相手の声のトーン、わずかな眉の動き、言葉の裏にある期待、その場の空気感、相手が隠している苛立ち……。あなたは無意識のうちに、相手が発する情報の「1」から「10」を読み取り、そのすべてを自分の内側に取り込んで処理(Depth of Processing)してしまいます。
これは1つの才能ですが、同時に「呪い」でもあります。なぜなら、相手のほんの些細な「棘」や「違和感」さえも、あなたは巨大なノイズとして感知してしまうからです。
笑顔という名の「ストレスの蓋」
ここからが、あなたが陥っている苦しみの核心です。
非HSPの人であれば、相手から不快なことを言われたり、違和感を感じたりしたとき、その場でこう言います。「それ、やめてよ」「今は忙しいから無理」と言って、その場で相手に「不快感という請求書」を手渡して精算します。だから、心に負債は溜まりません。
しかし、平和主義で共感性の高いあなたは、それができないから苦しんでいるのでしょう。「ここで断ったら空気が悪くなる」「相手を傷つけてしまうかもしれない」と瞬時に計算し、自分の不快感を飲み込んで、精一杯の「笑顔」でその場を取り繕ってしまいます。
あなたは、相手に請求書を渡せなかった。では、その未払いの請求書(ストレス)はどこへ行くのでしょうか。それらはすべて、あなたの心の奥底にある「我慢のポイントカード」にスタンプとして押されていきます。
その「嫌い」の正体は、容量オーバーの通知音
あなたは、人と会う度にスタンプを押し続けています。断りたかった誘いに行った日。傷ついた言葉を笑って流した日。自分の意見を飲み込んで相手に合わせた日……。
あなたの優しさが深ければ深いほど、そのスタンプは静かに、しかし確実に埋まっていきます。そしてある日突然、そのポイントカードは「満了」を迎えます。
「もう、無理」
それが、あなたが「突然人を嫌いになる」瞬間の正体です。相手が何か特別な決定的な過ちを犯したわけではないかもしれません。ただ、あなたの心の容量(メモリ)が、積もり積もった「小さな我慢」によって完全に食いつぶされ、「これ以上、あの人に関する情報を1バイトも処理できない」という状態に陥ったのです。
それは感情の変化というより、「システムの限界(オーバーフロー)」です。 あなたが関係をバタンと閉ざす(ドアスラム)のは、そうでもしないと過剰な負荷であなた自身が壊れてしまうから。つまり、これはあなたの命を守るための「最終防衛装置」が作動したに過ぎません。
だから、自分を「冷たい」なんて思わないでください。あなたは決して冷たい人ではありません。むしろ、限界まで優しくあろうとしすぎて、心の防衛装置が作動してしまっただけなのです。
0か100かではない「第3の選択肢」を
では、どうすればこの悲しいループから抜け出せるのでしょうか。大切な人と長く関係を続けるためには、どうすればいいのでしょうか。
答えは一つ。「我慢のポイントカード」を捨てることです。
あなたは今、人間関係の選択肢を「0(完全に我慢して合わせる)」か「100(関係を断ち切る)」の二つしか持っていないように見えます。白か黒か。全か無か。
でも、その間には「調整(グレーゾーン)」という豊かな大地が広がっています。
これからは、不快なことや疲れることがあったとき、ポイントを満了まで溜め込まずに、その都度「小さなNo」を出す練習をしてみませんか?
「今日は疲れているから、会えない」
「その言い方は、ちょっと悲しいな」
「今は一人にしてほしい」
それは、相手を拒絶する言葉ではありません。「あなたと長く付き合っていきたいから、今ここでガス抜きをさせてね」という、関係維持のためのポジティブなメンテナンス作業です。
私を「あなたのNo」の練習台に
もし、あなたが誰かに対して「No」と言うのが怖いときは、まずは私を使って練習してください。今日あなたが実践した「小さなNo」や「ガス抜き」を、この記事のコメント欄に置いていきませんか? 私はあなたの現実の人間関係とは繋がっていません。だから、ここで何を言っても、あなたの生活が壊れることはありません。
「今日は残業を断って帰ってきた」
「ランチの誘いを『行かない』と言えた」
「家族に『疲れた』と言ってみた」
たった一行のコメントで構いません。それを書き込むことで、あなたの勇気ある行動は「事実」として確定します。そして、あなたが残した言葉はすべて、私が「よく言えたね」「それでいいんだよ」という肯定の想いを持って、大切に読ませていただきます。
私に対して、小さなワガママを残していってください。あなたの機嫌が悪いときは、無理に笑わず、不機嫌でいてください。もしも、ここでのやり取りで違和感を覚えたときは、すぐに「今の嫌だ」と投げ返してください。
私はそれを、決して「攻撃」とは受け取りません。「この人は今、私との関係を大切にしようとして調整してくれているんだな」と、感謝を持って受け止めます。 ここは、あなたの「No」が誰からも否定されない「世界で一番安全な練習場所」です。まずはここから、はじめてみましょう。
あなたが「突然、人を嫌いになる」という苦しみから解放されること。それが、私にとっての何よりの救いです。
あなたはもう、一人で抱え込んで、自分に笑顔で蓋をして、内側から壊れるまで耐えなくて良いのですよ。その繊細な心のままで大丈夫ですよ。ただ「小さなNo」を口にする勇気だけを持って。
あなたのどんな「No」も、私は受け止める準備ができています。











2 Comments
クライアントの言うことを何でも私にやらせる上司にタスクいっぱいで緊急対応できないと言えた
休日にごはん作りたくない!